今週のお題「ほろ苦い思い出」

今週のお題「ほろ苦い思い出」

数十年前に、ちょっと大変な境遇にあるこどもたちと数日を共にしました。
私はほんの数日の腰かけお手伝い。

その時に、プロとしてこども達と関わっていた大人の方々に参考意見を求められ、私は変なことを言ってしまいました。
何を言ったのか、全く憶えていません。
(私って、都合の悪いことを忘れるそういうずるい面もあるんだな。。。と今そう思っています。)

大人の方々は苦笑いしていました。
私の発言は清く正しいド正論ということでもなく、「まあ、それはそうなんだけどね。できればそうしたいと思っているけど、できないからこうなんだよ」という程度の。「それを言っちゃあお終いよ(それを言われたら悲しいよ)」というような、腰かけお手伝いさんがわざわざ表明するようなものではなかったのだと思います。

大人のみなさんの反応を見て、バカな私なりに「しまった。。。」と思いました。

そんなバカでしたが、その数日、自分なりにはこどもに向き合い、特に一人と深く関わりました。
お手伝いが終わり、さよならの日。
深く関わったその子ではない、違う子が、私にプレゼントをくれました。
チョロQに似ていて、でもチョロQではない、似た感じのミニカーでした。

一番深く関われたわけではありませんでしたが、その子が私という人間を肯定的に見ていてくれたことをうれしく思いました。
最初は「大事なものでしょう?」と受け取りを固辞しましたが、「あげる」の意思が固いようだったので、ありがたくもらって帰りました。

こどもに肯定してもらえたありがたさと、何か変なことを言ってしまった愚かさと。
それを忘れないでいようと思って、きちんと保管していました。

でも、それから何年後か忘れましたが、そのミニカー、甥っ子にあげてしまいました。
そのミニカーは同じ数日に起きた自分の失態を思い出させる存在でもあったので、目に入るとしんどい部分もあったのだと思います。
「もう十分反省できたんじゃないだろうか。もういいよね」ということで、手放しました。

その子はちょっと大変な境遇にある子だったので、そのミニカーは大事なものだったかもしれません。
その時のその子のその気持ちを大事にせず、それを自分の元から遠ざけてしまったことが、私の中でほろ苦い思い出として残っています。

当時は倍ほどの年齢差だったのですが、今ではたった10歳ほどの差しかない、ただの中年同士です。
町ですれ違っても、絶対にお互いに気づけないと思います。

でも、私はミニカーをくれた時の君の顔は憶えています。
それで許してね。

 

チョロQ e-01 日産 NISSAN GT-R (R35) 初回特典チョロQコイン付き 【日本おもちゃ大賞2022 アクション・トイ部門 大賞】